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本・ガジェット好きのラーニング・ジャーナル

【本の紹介3】在宅HACKS!ー自分史上最高のアウトプットを可能にする新しい働き方 小山 龍介(著)

 


 本書は、最近話題の在宅勤務についての本です。

 著者は、在宅勤務という勤務形態を「新しいキャリアの選択であり、人生のあり方の選択」だと捉えています。そのため、いわゆる在宅勤務を扱った本よりも、その射程は広く、在宅勤務を効率的にするための方法論に始まり、在宅勤務を通じての人生論にまで踏み込んで書かれています。

 第1章の環境整備ハックでは、在宅勤務で集中できる環境を整えるためのツールなどが紹介されています。

 本章の最終項目で、著者は、環境の大切さを次のように述べています。

 自由意志が本当に存在するのかどうかという議論はさておき、私たちは想像する以上に環境からの影響を受けており、その影響下にある無意識の中でかなりの決定を行っているという可能性を受け止めたいと思います。つまり、「仕事に集中しよう」という意志の力を信じるのではなく、「つい仕事に集中してしまう」という環境の力をこそ、信じるべきではないかと思うのです。

 そのために環境を整えるためのツールがたくさん紹介されています。

 例えば、照明、ゲーミングチェア、大型ディスプレイ、空気質モニター、窓型スマートディスプレイなどです。

 

 私自身も、下に紹介するゲーミングチェアと大型ディスプレイを使用していますが、ゲーミングチェアは長時間座っていてもあまり疲れないですし、大型ディスプレイは、作業領域が広く、作業がはかどりとても気に入っています。

 

AKRACING ゲーミングチェア デスクチェア OVERTURE-RED 赤

AKRACING ゲーミングチェア デスクチェア OVERTURE-RED 赤

  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: オフィス用品
 

  

 

  紹介されいるツールでは、個人的には、「空気質モニター」が気になりました。室内の二酸化炭素濃度が1000ppmを超えると、思考に影響してくるそうです。目には見えないので、実際の数値をモニターしてみたいところです。

 

カスタム (CUSTOM) CO2モニター CO2-mini

カスタム (CUSTOM) CO2モニター CO2-mini

  • メディア: Tools & Hardware
 

 

  第2章の行動管理ハックでは、パーキンソンの法則ニュートン時間とベルクソン時間という考え方が参考になりました。

 パーキンソンの第一法則は、

「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」

というものだそうです。

 確かに、同じような仕事内容でも、1時間あれば1時間かかり、30分しかなければ30分でできてしまうということがありますよね。無駄に時間を使わないためにも、適切な時間を見極め、適切に締め切りを設定するというのが大切になってきそうです。

 

 ニュートン時間とベルクソン時間というのは、
ニュートン時間…客観的・絶対的
ベルクソン時間…主観的で相対的
という時間に関する2つの視点です。

オフィスで成果もあげずに仕事をしているフリをしてニュートン時間が過ぎるのを待っていたような人は、これからの時代、非常に厳しいでしょう。在宅勤務においては、ニュートン的なスケジュール管理は、もはや意味をなしません。そうではなく、濃密な時間を過ごすための「持続」を生み出すようなベルクソン時間としての時間管理、自分のやる気スイッチが入るような時間の使い方こそが、求められているのです。

と、本書で著者は書いています。

 

 第6章の副業ハックでは、情報発信で自分ブランドを作るということが紹介されていました。

情報発信をするとなると、事前に構成を考えたり、調べ物をしたりしておかなければなりません。つまりアウトプットするためにインプットが必要になります。自分をメディア化することによって、今まで気にもとめていなかったことに気づき、違和感を見過ごすことがなくなり、感性が鋭敏になっていく。YouTubeやブログなどの自分メディアを持つというのは、自分自身をメディア的な身体に組み換えていくことでもあるのです。そしてそのメディアが、自分と一心同体となり、最終的に自分のブランドになるのです。

 私自身も、まだブログを作成し始めたばかりで少ししか記事をアップしていませんが、実際に記事を書こうとすると、色々と思考を巡らせるようになりました。まだまだですが、少しずつブラッシュアップしていきたいです。

 本書には他にも参考になる内容がたくさんあります。

 本書に書かれているのは、基本的には在宅勤務に関する内容です。しかし、それだけにとどまらず、在宅勤務という働き方を通して、これからの自分の働き方や生き方を考えるキッカケにもなるような本だと思います。

 

【引用ベスト3】

 仕事の仕方ということでいえば、先が読めないなかで、最初から高い完成度を目指すのは得策とは言えません。状況が変わってしまうからです。むしろ完成途中のまま、世の中の状況に合わせてアップデートしていくような仕事の仕方が求められます。

 

 現場で物を見るのにも、コツがあります。これはコーチングのスキルを学ぶときに私が教わった、3つのレベルの軽重が役に立ちます。(中略)

 1つ目が内的傾聴と呼ばれるもので、相手のことを見ているようで実際には自分の内なる気持ちや考え、感情に注意が向いている状態です。この状態だと、クライアントはコーチが自分のことを聞いてくれていないというふうに感じます。(中略)

 2つ目が集中的傾聴と呼ばれるもので、相手の話に注意を向けて集中して聞いている状態のことをいいます。こうなるとクライアントは、確かにコーチがしっかりと話を聞いてくれているという感覚を持ってくれます。(中略)

 集中的傾聴を超えるものとして、3つ目の全方位的傾聴があります。これはクライアントの話していることだけではなく、その場の雰囲気やクライアントの様子など、360度全体に向けて注意を払っている状態です。この状態で相手を観察していると、たとえば話ししている内容は勇ましいものであっても、実際には不安に感じているな、といったことがわかります。この状態で話を聞いてもらうと、クライアントは、単に話を聞いてもらっているというだけでなく、自分を受け入れてもらっていると感じます。現場で観察するときも、実際に起っていることだけではなく、その背景にある目に見えないものまでも感じ取ることが重要です。

 

 与贈というのは、贈与をひっくり返した言葉で、贈与の中でも匿名での見返りを求めないものを言います。

 この与贈が自分のいる〈場〉に対して行われると、その〈場〉が豊かになっていきます。〈場〉が豊かになっていくと今度は、その〈場〉から自分へと与贈が居場所というかたちで返ってきます。循環が起こっているのです。